少女たちはしらない
少女たちはがらすのごぶれっとであることを
雨あがりのまちかどで
ひとがどうして少女たちをまぶしがるのか
夕やけのぷらっとほーむで
ひとがどうして少女たちをふりかえるのか
少女たちはけっしてしろうとはしない
少女たちはすきとおったからっぽのごぶれっと
ちょっとてあらくあつかわれても
たちまちこなごなにこわれてしまうことを
少女たちはしらないふりをしている

なにもかも しっこうゆうよで
みはられながらまもられていることを
少女たちはけっしてしりたくない
けれど少女たちはうつくしい
からっぽのすきとおったごぶれっと
そのなかになにをいれていいのかわからなくて
ときどきこっそりじれてないた朝
少女たちはあらいたてのごぶれっと
ひかりよりもまぶしくせかいをはんしゃして
いたいたしくふんぞりかえっているのだ

 

― 征矢泰子 「少女」―

 

昨日、ジュリは卒業式だったらしい。
送られてきたメールに写真が添付されていた。

 

手にした卒業アルバムには「軌跡」と書かれている。

彼女たちは、それが自分たちが少女でいられるの最後の日だと、みなひそかに知っているから、あんなにも卒業式で泣くのだろうか。