こころざしおとへし日は
いかにせましな
手にふるき筆をとりもち
あたらしき紙をくりのべ
とほき日のうたのひとふし
情感の失せしなきがら

したためつかつは誦(ず)しつつ
かかる日の日のくるるまで

こころざしおとろへし日は
いかにせましな
つつましく人住む小路(こうじ)
ゆきゆきてふと海を見つ
波のこゑひぶかう卓に
甘からぬ酒をふふみつつ
かかる日の日のくるるまで

 

― 三好達治 「志おとろへし日は」―

 

午後四時。
読書に飽いて外に出ると、空は晴れているが風が冷たい。
東の空に上弦をすこし過ぎた白い月がかかっている。

なぜだろう、そんなふうに歩いていても私は、いつものように

かゝるをりしも剛直の

とはなっていかない。

たぶん、こんな「こころざしおとろへし日」は、三好達治が言うように、詩と酒しかないらしい。
そんなわけで、今日は久しぶりに一升瓶を買って帰ってきた。
飲むかどうか、それは夜ならなければわからないのだが。

願はくは、明日はわたくしに、為すべきことを為させたまへ!