私は先ず、しくじることを予め覚悟するようになった。

 

― 中川一政 「我思古人」―

 

当地、昨日今日が公立高校の〈前期〉入学試験。
答え合わせをやって、得点を計算して、皆、不安げな顔つきである。
まあ、不安であろう。

もっとも、天皇が「宝物」のマヒト君だけは、

「まあ、後期もあるし」

と、いたって平気な顔である。
頼もしいことである。

引用した、画家の中川一政の言葉は、何も悲観しろと言っているのではない。
そうではなくて、しくじることへの努力の大切さを言っているのだ。
しくじることを怖れて何もしない者は、何も捕まえることはできない。
彼は言う。

失敗の労力を骨惜しみせずぶつかることで自分の調子は出せる。


そういうものである。

ところで、マヒト君は、本番の入試においても、理科の答案に

ヘボグロビン

と書いてあって、私は大いに笑ってしまった。
言うまでもなく、正しい名前は「ヘモグロビン」。
「ヘボ」は私の囲碁の事である。
しかも、その問いの答えは、なんと「ヘモグロビン」でもなんでもなく、〈組織液〉と答えるべきところだったのである。

まあ、これくらいはいい。
この国は、「歯舞」も読めない人だって、北方領土の担当大臣になれる国なのであるから。
(しかし、これでいいのかい?)