午眠の利益今知るとは愚か愚か。小生などは朝一度昼過一度、二十四時間中都合三度の睡眠也。昼寐して夢に美人に邂逅したる時の興味などは言語につくされたものにあらず。昼寐もこの境に達せざればその極点に至らず。

 

 

 ― 夏目漱石  「書簡」 (明治二十三年七月二十日 正岡子規 宛) ―

 

 

 

十年ほど前までは、夏場だけだった昼寝も、今や、四季を問わず、昼飯を食ったら、必ずイタサズンバアラズの状態である。
体が勝手に要求する。
言うまでもなく、今日も食後午睡。
今日は出て来なかったが、「美人」「佳人」ももちろんおおいに出てくる。
(このあいだは、ちょいと年増だが、メルケル女史と京都あたりの夏座敷で対坐しておった)

というわけで、老いも実にワルクナイものである。
その上、毎朝ヤギに起こされたあとの、朝の二度寝もある。
《二十四時間中都合三度》!
どうやらニ十代の漱石に私も追い付いたらしい。

 

ところで、今月から朝日に連載されはじめた「吾輩は猫」、やっぱり面白いなあ。