狼騎氏から彼が参加している句会の合同句集が届いた。
会員各自二十句、総勢ニ十一人の作品が載っている。
巧拙さまざまな句があって、それぞれになかなかおもしろかった。

句集が届かなかった人のために狼騎氏の作品を転載する。
題は「聖五月」。

 

停戦に沸き返る村聖五月

 

向日葵の迷路何処にも監視の眼

 

老いてなほ浮名流してパナマ帽

 

ゆったりと邪気を抱えて菖蒲の湯

 

触れもせず愛されもせず毛虫焼く

 

楓蔦桜柿櫨紅葉狩

 

大流星ペガサスの背を飛び越して

 

切っ先を闇に三日月動かざる

 

句敵も碁敵もいる夜学校

 

聞きなしで知る色鳥の睦語り

 

千年の齢嘆きて鶴の舞い

 

憚れるほどの太さの大根抱く

 

潔き死を受け入れて薬喰

 

べえ独楽少年戦う顔となる

 

正座して膝大笑ひ謡初

 

青き踏む羊の如き国民と

 

天空を目指す男気松の芯

 

儘ならぬ鈍色の空メーデー来る

 

胸襟を開くことなく卒業す

 

指先に春風集め太極拳

 

 

初句から、社会への眼を捨てようにも捨てきれぬ狼騎の句なので、なんとなくうふふとしてしまう。

さて私が句会に出ていたとして狼騎氏の句を一つを選ぶとすればなんだろう。

青き踏む羊の如き国民と

 

小学校の校庭に窓枠を落とした米軍の事故に、官房長官が「あってはならない事故」などといういつものことばを言う以外、今回も政府も国民も何も言わないのだろうか。
そもそもが、市街地、ましてや小学校の上空を平気で外国の軍のヘリコプターが飛びまわることを許していることこそ主権国家として「あってはならぬこと」なのに。
安倍が政権に就いてから、一貫して「ままならぬ鈍色の空」が続いてございます、この国は。

 

木枯らしや昔狼騎にローキック      捨般

 

いやいや、

 

流星群今も狼騎にローキック

 

が正しいか。