今日は春分の日で休みだったので、映画を観て来ました。
「ゴンドラ」(伊藤智生監督)という30年前に作られた日本映画です。
この映画は今話題になっていて、全国でリバイバル上映されているらしいのですが、今回シネモンドにも来ました。
はっきり言って30年も前にこんなに素晴らしい作品があったのかと大感激しました。
これはお薦めです!
貴兄には是が非でも観てもらいたいと思います。
DVDでもいいと思います。
お願いします。
朧夜の先に漸く見えたもの
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おたよりありがとうございます。
宗匠に〈お願い〉されてしまったので、これは是非とも見ねばなるまいと思って、さっき調べてみたのですが、首都圏の上映はすでに終わり、ただ今の上映館は全国で金沢シネ・モンドだけらしい。
なおかつ、小生のテレビにDVD再生装置はなく、パソコンも、CD,、DVDの類が回らなくなってしまっておりまして、どうにも方策はありません。
申し訳ない。
さて、「ゴンドラ」と聞いて、私が思い出したのは、例の
命短し 恋せよ乙女
唇の色 褪せぬ間に
心の炎 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを
という、「ゴンドラの唄」なんですが、ポスターを見ると、どうもそんな話ではなさそうですね。
ところで、吉井勇作のこの歌、題名がなぜ「ゴンドラの唄」なのか、一向わからなかったのですが、昔、アンデルセンの森鴎外訳の「即興詩人」を読んでいたとき、謎が解けたように思ったものでした。
中で、主人公アントニオがアドリア海を渡る船の中で聞く「ヴェネチアの舟歌」が、この歌の元だったんですな。
朱の唇に触れよ、誰か汝(そなた)の明日猶(なほ)在るを知らん。
恋せよ、汝の心猶少(わか)く、汝の血の猶熱き間に。
白髪は死の花にして、その咲くや心の火は消え、血は氷にならんとす。
来(きた)れ、彼(かの)軽舸(けいか)の中へ。
二人はその蓋(おほひ)の下に隠れて、窓塞ぎ戸を閉ぢ、(・・・・)
少女(をとめ)よ、人は二人の恋の幸を覗(うかが)はざるべし。
今日は、当地、時ならぬ彼岸の雪。
すでに長きにわたって白髪いただくわたくし、この寒さに、まさしく「血は氷にならんとす」でございましたこと、今さら言うまでもございません。
終日、ストーブを焚きづめでした。
本物の春の来たらんこと、待たるるばかりでございます。
格調高き鴎外訳を真似気取るなら、
来たれ、春よ、かの軽舸に乗りて!
橋を負へる石弓(アーチ)をくぐり、燈影長く垂るる渠水(きょすい)をぬるませ、
頬(ほ)に触るる風やはらかき春よ、来たれ!
でございます。
降れど降れど積もらぬ雪でありにけり
すてぱん