愚者だけが、文字通り愚かしい内的な確信の力をあの独断的な要求にまで昂じさせることができる。すなわち、彼はおのれの考え方とおのれの地上的な論理が絶対的かつ永遠に正しいと認められることを要求するまでになるのだ。

 

― ブロッホ 「誘惑者」 (古井由吉 訳) ―

 

 

 

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日をあびても
緑の草のように自分で自分の体を作ることができない
隠花植物のくせに こいつらは
夏の陽射しの中に顔を見せる

目に見えぬうちに土に撒かれ
時期を待っていたこいつらの胞子が
その糧にするものは
だれもがそのなにがしかを目に見えぬ地下に宿している憎しみと不安
それを集め それを誘い それを煽りたて
こいつらは
不意に大きく姿を見せるのだ
そして あたかも 自分たちこそが花壇の主役であるかのようにふるまう

食べてはいけない
こいつらには毒がある

 

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