不滅なものは信用できない
― 長田弘 「探した」―
それにしても、ヤギコも老いた。
今朝、わずか40センチの高さの椅子に飛び乗ることにさえ失敗して、そんな失敗した自分に驚いている。
昔はこうではなかった。
何か失敗しても、「私、失敗なんてしていません」という顔をしたものだ。
たとえば、私が転がすボールをとらえそこねても、あたかも、自分ははじめっからまるっきりそんなものには興味がなかったかのように、不意にごろりと横になって前脚を舐めてみせたりしたものだ。
だが、今は出来なかった自分に素直に驚いている。
老いたのだ。
そう思う。
私もまたそうであるからよくわかる。
大人になった猫の一年は、人間の四年だか五年だかにあたるという。
とすれば、彼女はもうとうに八十の坂を過ぎ、ひょっとすれば100歳くらいになっているのかもしれない。
はたして彼女、この夏を、乗り越えられるのであろうか。
というわけで、今朝のヤギコさん。
のんびりあくびなどしておりますが・・・。