賢い人が心配ごとについて考えるのは、考えることが何かの役に立つ場合に限られる。それ以外の時は、ほかのことを考えるか、それとも、夜分であれば全然何事も考えない。

私たちのすることは、私たちが考えているほど重要なものではない。成功も失敗も、結局、あまり大したことではない。大きな悲しみだって乗り越えることができるし、これで一生涯、幸福に終止符を打つにちがいないと思われるような悩みごとも、時がたつにつれて薄らいで、ついには、その痛切さを思い出すことさえほとんど出来なくなる。

 

 

      ― ラッセル 「幸福論」 (安藤貞雄訳) ―

 

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午前中勉強に来ていた子どもたちも帰ってしまったしずかな夏の昼下がり、ヤギコは冷房のきいた部屋の机の上の黒電話の横にただただ何の憂いもなく眠っています。

猫というものが賢いものかどうか意見は分かれましょうが、すくなくとも彼らの生き方は、ラッセルのいう「賢い人」のあり方にたいそう似ております。
まあ、そもそも彼らには「心配ごと」というものがないのでしょうが。

台風一過の今日、関東はすこぶる暑く、おかげで、私も心おきなく冷房をかけ続け、極めて快適に部屋で本を読んで午後を過ごしたことでございました。

はてさて、日が暮れて外に出てみると、今夜はすばらしい満月でございます。