「時に御主人はどうしました。相変らず午睡(ひるね)ですかね。午睡も支那人の詩に出てくると風流だが、苦沙弥君のように日課としてやるのは少々俗気がありますね。何の事あない毎日少しずつ死んで見るようなもんですぜ。」

 

― 夏目漱石 「吾輩ハ猫デアル」―

 

相変わらず、朝日新聞の「猫」は天下泰平である。
今日も、勝手に人の家の風呂に入って出てきた迷亭先生、苦沙弥先生の細君を相手に上のような駄弁を弄しておる。
苦沙弥先生同様、ここ数年、連日

何の事あない毎日少しずつ死んで見るようなもんですぜ。

を実行しておる身は、ふふふ、と笑うしかない。
当方、別に胃弱でもなんでもないんだが、厭世気分は苦沙弥先生に負けていない。

なにせ、愚にも付かぬ、土管から出てくるマリオを演じるのに12億も使った首相が、今度はアフリカに行って、
「日本は約束を守る国です」
などと、何の自省もなしに大見栄を切っておるのだもの。
すこしは死んで見なくては一日はすごせぬというものだ。
原発にしろ、TPPにしろ、2%の「インフレ目標」にしろ、私の知る限りあの人、一度も約束を守ったことがないのだが。

今日の表題、
倒行し逆施(げきし)す
も今日の迷亭氏が駄弁のうちに吐いていた言葉。
なんでも「史記」伍子胥(ごししょ)伝に載っている言葉なんだそうで、
「理に逆らって物事をなすこと」
を言うらしい。

この国の首相もそうなら、奇妙な台風10号もまさしく倒行し逆施しておりますな。

 

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