何となく、
今年はよい事あるごとし。
元日の朝、晴れて風無し。
石川啄木
元日の朝十時過ぎ、電話があって、愛ちゃんから、近くの寺でやっているという餅つきに誘われて出かけた。
空は晴れあがって雲ひとつなく、風もない。
あたたかく、穏やかなお正月である。
さほど広くない境内に、かまどが3つしつらえられ、それぞれに釜が据えられて、蒸籠が湯気を上げていた。
あたりにただよう薪の燃える匂いがなつかしかった。
小さな子どもたちが「ケムイ、ケムイ」と言っていたが、それは私にとって、竃(かまど)に釜でご飯を炊いていた、小学校の低学年の頃までの家の台所の匂いだった。
今朝、そのときの写真が愛ちゃんから送られてきた。
写真で見ると、なんだか、私、すっかりこの家族の一員のようだ。
私が餅を搗いている写真もあった。
50年ぶりだ。
《昔取った杵柄》なんて言葉があるが、私、きわめて真っ当な餅つきスタイルである・・・・・と思うがどんなもんでしょう。
ところで、その後、そこにやって来てくれた日向野さんに会うことができた。
20年ぶりだという。
とてもうれしかった。
よいお正月だった。