嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は

 

   龍田の川の 錦なりけり

 

    能因法師

 

能因法師(のういんほつし)。

 

なんでしょうかねえ、これ。
何にも解説要りませんね。

 

嵐が吹く三室の山の紅葉は龍田川の錦だったんだなあ。

 

訳だって、こうやって、一行あれば足りる。
というか、ことばを歌の通りに訳していけばそれで済む。

いい歌なんですかねえ、これ。

 

能因法師には

 

都をばかすみとともに立ちしかど秋風ぞふく白河の関

(都を春の霞がたつころに出立したけれど、みちのく白河の関にはもう秋風が吹いていたよ)

という歌があって、これを能因は実際には白河には行かないで作ったので、人に知られないように家にこもり、ひたすら長旅をしてきたように顔を日にやいて、人々には奥州への旅で作ったものだと披露したという話がある。
妙な人だ。

 

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は

 

   龍田の川の 錦でござった