知性のある人は自ずと分かる。
人の話を静かに聞く。
(勿論、相手の話の途中で枝葉に逸れるような口をはさまない。)話す口調も静かにして簡潔である。

昨夜、金沢では「百万石祭り」の一環として「燈籠流し」があった。

 

 

 

そこら辺をタクシーで流していて一組の親子を拾った。
外人さんだ。
娘さんは三十代にみえた。
乗るなり、スマホをかざして番地を示す。
こちらにはナビがあるのでOK!

「ワッツネイム ユアホテル?」とか

「トーロー イズ ファンタスティック?」とか適当に話しかけてみた。
二人とも「ビューティフル」と答える。

そして降り際に、お母さんは
「ありがとうございます」
と言い、娘さんは
「どうもありがとうございます」
と言って、さらに
「アリガトウゴザイマス、ドウモアリカトウゴザイマス、フンフーン」
と言う。
「その違いは?」と尋ねているように察せられた。

ありがとうございますがサンキューベリーマッチならそれよりは丁寧なんだが、丁寧という英語が分からない。
私は咄嗟に
「ドウモ イズ モースト」
と答えた。
球が来て反射的にバットが出た感じだ。
相手は納得したような顔をしていたが、正解はともかくそういうのが咄嗟に出たことがなにやら自分でにんまりしてしまった。

 

しかし外人さんというのは、さらっとそんなことを異国の初めて会った人に聞けるもんやなぁ。

 

自分が疑問に思ったことをさらっと人に聞ける。
解決を試みることに躊躇わない。
これも知性に含まれるかもしれない。

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おたよりありがとうございます。

私が金沢にいたころは、「百万石まつり」は六月十四日、と決まとったもんやが。

灯篭流しまでやるようになったとは!

 

ところで、外国人観光客が増えたのは、観光客から見れば日本が「安くておいしい国」になったからだ、と先日の新聞で小熊英二氏が書いていた。

欧米の大都市だと、サンドイッチとコーヒーで約千円は珍しくない。香港やバンコクでもランチ千円が当然になりつつある。だが東京では、その3分の1で牛丼が食べられる。それでも味はおいしく、店はきれいでサービスはよい。ホテルなども同様だ。これなら外国人観光客に人気が出るだろう。1990年代の日本は観光客にとって物価の高い国だったが、今では「安くておいしい国」なのだ。

このことは日本人1人当たりGDPが95年の世界3位から17年の25位まで落ちたことに関連している。「安くておいしい店」は千客万来で忙しいだろうが、利益や賃金はあまり上がらない。観光客や消費者には天国かもしれないが労働者には地獄だろう。

「日本には20代、30代で高度な知識・能力を有する若者が、高賃金で働く職場が少ない。稼げないから物も安くなるのだろう。

読みながら、昔宗匠とインドへ行ったときのことを思い出した。
当時の為替レートは80余円。
なかなかに悲惨な旅だったが、思えば日本人はマハラジャみたいなもんだった。
一人あたりGDPが3位から25位に転落しているとは、実はこの国はインドへの道を進んでいるのではないか。
にもかかわらずいまだ「一流国」だと幻想している多くの人たち。
いやはや。

低賃金長時間労働で「安くて良質な」サービスを提供させるブラック企業を野放しするどころか、それを助長する「働き方改革」なんてやっている限り、デフレからの脱却も出来ないし、出生率だって上がらない。

と、やっぱり憂鬱な今日このごろの私です。

 

 

 

すてぱん。